【健康情報】熱中症を防ごう!
[2020年7月27日]
[2020年7月27日]
近年、気候変動による厳しい暑さで、熱中症が心配されるようになりました。
さらに今年は、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ感染症」)の防止のためにマスクを着けていること、また、在宅勤務や学校の休業、外出の自粛などで体を動かして汗をかく機会が少なくなり、体が暑さに慣れていないことなどから、熱中症のリスクが高くなっています。
今年の夏は、例年以上に熱中症に対して注意が必要です。 (環境省熱中症予防情報サイト)
熱中症について理解を深め、しっかり対策をとって、暑さに負けず元気に過ごしましょう。
熱中症対策のために知っておきたいことが、私たちの体の体温調節のしくみです。
私たちの体は、気温が高くなった時でも、体温が37℃前後になるよう調整しています。
体温の調整には、「外気への放熱」と「発汗」の2つの方法があります。
体は自律神経の働きにより、
無意識のうちに体温調節をしています。
(1)外気への放熱
体の末梢血管を広げて多くの血液を流し、皮膚から熱を逃がします。熱を出している人の顔が赤ら顔にみえるのもそのためです。
(2)発汗
汗をかいて、その汗が蒸発するときに熱が奪われる気化熱という現象で体温を下げる方法です。
これらの方法では追い付かない時や大量の汗をかいて体の水分量・塩分量が減少した時に体温が上昇してしまい、大切な臓器が高温にさらされることで起こるのが、熱中症です。
熱中症を引き起こす要因は、 「環境」「からだ」「行動」の3つに分けられます。
(1)環境
次のようなものが、環境の要因です。
(2)からだ
◆子ども・・・体表面積が大きいため熱しやすく冷めやすい、体温を調節する機能が未発達という体の特徴があります。
また晴天時の屋外では、子どもは大人よりも身長が低いため地面に近く、高温の環境にいることになります。
※保護者の方は、屋外ではベビーカーや歩くお子さんに帽子や日よけで暑さよけを工夫するとともに、顔色や汗のかき具合などお子さんの様子に特に注意が必要です。
◆高齢者・・・体の水分量が成人と比べて減少し(体重あたりの水分量は成人で60%前後のところ、高齢者は50~55%)、暑さやのどの渇きを感じにくい、汗をかきにくい、という特徴があります。
※周囲の方は、水分補給や食事・運動などの生活の様子に気を配り、声かけをしましょう。
◆その外にも、糖尿病や心臓病などの持病がある方や、低栄養にある、寝不足の人は熱中症になりやすいので注意しましょう。
(3)行動
激しい運動・慣れない運動、長い時間の屋外作業、水分補給がしにくい、などがこの要因に当たります。
※スポーツの活動時や職場での作業においては、あらかじめ熱中症の予防対策を計画し、確実に対策を実施できるようにしましょう。
(熱中症環境保健マニュアル2018 運動・スポーツ活動時の注意事項、労働環境での注意事項 参照)
熱中症は次のような症状がみられます。
【軽症】めまい、立ちくらみ、筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)、手足のしびれ、汗がとまらない
【中等症】頭痛、吐き気、嘔吐、からだがだるい、虚脱感
【重症】呼びかけや刺激への反応がおかしい、全身のけいれん、まっすぐに歩けない・走れない、高体温(体に触ると熱い)
重症の場合は、命にかかわります。また、腎臓、肝臓、循環器の病気の発症や後遺症を残すこともありますので、熱中症を疑った時には、「緊急事態である」と考えて、すぐに対処することが大切です。
次の熱中症の応急処置のチェック項目から、どのような状況かよく観察して、状況にあった対応をしましょう。
≪現場での応急処置のポイント≫
(1)涼しいところに避難し、体を冷やす
※重症の場合の救命は、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。救急車が到着する前でもできる限り体を冷やす処置を行いましょう。
(2)水分・塩分の補給
※呼びかけに反応がないような意識障害がある時に口から水分を飲ませることは、気道に水分が流れ込む危険性があるため禁物です。
救急隊員が到着した際や医療機関に受診したときには、どのような状況下で起きたのか、その経過や症状を伝えるようにしましょう。
また、処置をした人は、コロナ感染症の予防のために、処置後は石けんによる手洗いやアルコール消毒をしましょう。
次のような工夫が熱中症の予防になります。
(1)暑さを避けましょう。
◆過ごす場所の工夫
※コロナ感染症対策として、エアコンを使用しているときも定期的に換気をしましょう。
◆衣服の工夫
◆行動の工夫
(2)こまめに水分補給をしましょう。
汗の原料は、血液中の水分や塩分です。汗をかくためにも水分補給は重要です。
アルコール飲料は、尿量を多くし体の水分を排泄してしまうので、水分補給になりません。
(3)日ごろから暑さに備えた体づくりと体調管理をしましょう。
(4)マスクの着用について
マスクをしていると、熱が逃げにくい上に、のどの渇きが感じにくいため水分補給が足りず、気づかぬうちに汗がかけくなっているなどで、熱中症のリスクが高まります。
環境省および厚生労働省による啓発チラシ(熱中症予防×コロナ感染防止)
・屋外で人との距離が2メートル以上離れている時は、マスクをはずしましょう。
・マスクの着用時は、激しい運動を避け、こまめな水分補給を心がけましょう。
環境省と気象庁では、令和2年7月から効果的な情報発信として、関東甲信地域を対象に「熱中症警戒アラート」の発表を試行しています。これまでの気象庁が気温をもとに出していた高温注意情報と違い、気温と湿度と輻射熱(地面や建物・体から出る熱)の3つを取り入れた「暑さ指数」を指標として発表されるものです。
(1)発表期間 令和2年7月1日(水曜日)~10月28日(水曜日)
(2)「熱中症警戒アラート」の発表の単位・基準・方法
※テレビや環境省・気象庁のウェブサイト等による発表に注視し、熱中症警戒アラートが発表された際は、特に熱中症に注意をしましょう。
※熱中症になりやすい高齢者、子ども、また、障がい者の方々には、周囲からの熱中症予防に関する声かけをお願いします。
※市では、東京都に「熱中症警戒アラート」が発表されたときに、防災無線やメール配信で市民の皆さんへ熱中症予防の注意喚起を行います。
<出典・参考文献等>